2448 ナンバープレート向けAI学習データ自動生成用ソフトウェアを開発しました


 この度、島根県内企業である日本システム開発株式会社、国立大学法人島根大学および島根県産業技術センター(以下「当センター」)の共同研究により、車両のナンバープレート画像判別AI用の学習データ自動生成ソフトウェアの試用版を開発しました。
本ソフトウェアは、2021年11月17日~19日にパシフィコ横浜で開催される展示会「ET & IoT 2021」への展示を予定しています。

● 概要
 車両のナンバープレート判別を目的としたAIの構築には、大量の学習用画像データが必要になります。大量の画像データ収集には手間と費用がかかるため、人的・時間的コストが課題となります。今回開発したソフトウェアでは、少量の画像を基にCGを利用して多量の画像データを生成することで、AIの構築時間を大幅に削減できます。

● 本ソフトウェアの説明
 車両のナンバープレートには、多数の地域名が存在するため実写画像の収集が困難です。しかし、ナンバープレートには文字の形状や配置などに規格があり、CG画像生成が容易という利点があります。
 そこで、本ソフトウェアの有効性を検証するために、車両のナンバープレート向け学習データ自動生成用ソフトウェアを開発しました。本ソフトウェアを利用することで、100枚程度の実写のナンバープレート画像から、数千~数万枚のAI構築用CG画像が生成できます。データ生成の処理手順は以下になります(詳細は別添資料をご参照ください)。
 ① ユーザーが実写画像を提供
 ② CG画像を生成
 ③ AIで判定し、不正解の画像を抽出
 ④ 不正解に対応したCG画像を生成
 ⑤ ③と④を正答率の目標値まで繰り返す
 ⑥ 生成したCG画像をユーザーへ提供

● 日本システム開発株式会社の本ソフトウェア開発への思い
 本ソフトウェアは、学習データ準備時に、人的・時間的コスト要因により、PoC(※)の次ステップへのチャレンジにお悩みの企業様が多く存在する現状に一石を投じるものです。大量のデータをCG生成することにより、AIエンジニア自身によるデータ収集と比較し、格段に時間・費用両面においてリーズナブルに、学習データのご提供が可能です。1社でも多くの企業様がAIを活用し業務改善・新規事業立ち上げを行っていただくことが私たちの思いです。
※ PoC:新規の技術・手法・アイディアなどが実現可能か、目的の効果や効能が得られるかなどを確認するために実験的に行う
検証工程のこと。

● 当センターの取組について
 当センターでは、平成30年から「先端技術イノベーションプロジェクト(第2期)」に取り組み、現在は6つのテーマで研究開発を実施しています。本件は「AI・通信技術を用いた支援ロボット開発プロジェクト(以下、「AIプロジェクト」)」による取組事例です。
本共同研究におけるAIプロジェクトの貢献内容として、AIを利用したナンバープレート判別に係る技術構築、実写のナンバープレートの特徴に合致したCGデータを生成する基礎手法の構築などが挙げられます。
 AIプロジェクトでは、本件を事例とした製品化支援に加えて、企業におけるAI構築(内製化)支援、AI技術者育成支援等を実施しています。AIを用いることで、従来よりも堅牢で判定精度の高い画像処理技術を実現することができます。AIの産業応用例として、品質検査や状態検知(不良品検知、異常検知など)、人の動きの検出・判定(見守り、不審者行動検知など)などがあります。また、AIを活用することで、製品の高付加価値化や、ものづくり企業における作業負担・ヒューマンエラーの低減、省力化(労働力不足の解消)、業務効率化などが期待できます。

● お問い合わせ先
 〇 製品に関すること
  日本システム開発株式会社 西日本支社
  担当者名:藤井
  TEL:0852-28-7175
 〇 AIに関すること
  島根県商工労働部産業技術センター
  担当者名:藤原
  TEL:0852-60-5140