| 掲載日 | 令和5年12月25日 |
|---|---|
| 担当 | 文化財課管理指導スタッフ 今福拓哉 |
| TEL | 0852-22-5880 |
| メール | bunkazai@pref.shimane.lg.jp |
142 島根県指定文化財の指定について
令和5年12月25日(月)に開催された島根県文化財保護審議会において、下記の文化財を島根県指定文化財に指定するよう答申されました。
1 新指定文化財
(1) 種別 天然記念物(動物)
(2) 名称・員数 ニホンアシカ剥製標本 1体
(3) 所在地 島根県松江市西川津町1060
(4) 所有者 国立大学法人 島根大学
(5) 法量等 性別 オス 年齢 幼獣 体勢 伸展腹臥位 全長 1,413.0mm
(6) 特徴
ニホンアシカは日本産鰭脚類(ききゃくるい)8種の中で最も南に分布していた種で、本
州沿岸で繁殖していた唯一の鰭脚類。かつては日本近海に広く分布していたが、1950年
代に絶滅したとされている。
島根県内では、竹島や島根半島などで繁殖・分布が確認されている。なお、『出雲国風
土記』では、嶋根郡(しまねぐん)と出雲郡(いずもぐん)に「等々島(とどしま)」の記載があ
り、8世紀にはすでに県内において多くのアシカが生息していたものと推測される。
対象のニホンアシカの剥製標本は、左前肢(ぜんし)に「海驢(あしか) 明治十九年二月
二十七日於出雲国嶋根郡美保関近海捕獲 牡 若 一名アシカ又ミチ」と記されており、
1886年に美保関で捕獲されたニホンアシカであることがわかる。美保関で捕獲された
後、島根師範学校で剥製標本として保管され、その後、島根大学教育学部で保管、現在は
同大学総合博物館で展示・保管されている。
(7) 指定の理由
ニホンアシカは既に絶滅したとされる動物であり、剥製標本は世界的にも貴重であり、
詳細な研究が行われる以前に絶滅しているため、学術的価値も高い。
本剥製標本は、美保関で捕獲された個体であり、かつ制作後一貫して保管されており、
資料の来歴に不明な点がない。
本剥製標本は捕獲場所や年代等も判明しており、島根県におけるニホンアシカの生息を
示す上で貴重な文化財と位置づけられるため、県指定文化財として保護することが適当で
ある。
【参考】
(1) 今回の答申により、県指定の天然記念物の件数は38件(うち、動物は5件)となる。
(2) 天然記念物の指定は、平成25年以来10年ぶり(動物指定は20年ぶり)となる。
2 島根県指定史跡の追加指定
(1) 種別 史跡
(2) 名称 山代郷南新造院跡(やましろごうみなみしんぞういんあと)
(3) 指定年月日 平成5年4月6日(当初指定)
平成29年1月24日(追加指定)
(4) 所在地 既 指 定 松江市山代町字内堀144番3外
追加指定 松江市山代町字大畑167番 外9筆
(5) 所有関係 個人(追加指定部分)
(6) 面 積 既指定 2,456.92㎡ 追加指定 3,670.56㎡
合 計 6,127.48㎡
(7) 概 要
山代郷南新造院跡は、『出雲国風土記』に「新造院」として記載された寺院跡である。
昭和59年と62年、県教育委員会の発掘調査により、奈良時代の金堂基壇(こんどうきだん)
や瓦、仏像の螺髪(らほつ)等を発見。風土記の記載と調査成果が合致する重要遺跡とし
て、平成5年に県指定史跡として指定している。さらに、平成28年の発掘調査により、
寺域南側の区画溝および寺院に関わる建物跡を確認したため、平成29年に追加指定し
た。
以降、松江市による継続的な史跡指定地周辺の内容確認調査が実施されており、調査で
は、寺域南側の中央付近で寺院の門跡を確認したほか、寺域西側を区画する溝(南北溝)
や、南新造院建立より古い時期の建物(前身建物群)を発見している。
(8) 追加指定の理由
山代郷南新造院跡は、地方豪族が建立した寺院跡であることが推定されていたものの、
寺域や建立の過程については不明な点が多く存在していた。今回、新たな発掘調査によ
り、寺域南側の中央に位置する門(中門)を確認したことで伽藍(がらん)配置の中軸線が
判明し、この中軸線と寺域西側の区画溝(南北溝)及び寺域南側の区画溝(東西溝)によ
り寺域の復元が可能となった。また、東西溝付近で前身建物群を発見したことにより、新
造院建立の経緯が明らかとなった。
このように、山代郷南新造院跡は寺域の範囲や寺院建立の過程が確認できる遺跡であ
り、地方寺院の成立や構造を理解する上で重要であるため、保護を図る必要がある。
今回、南新造院の寺域および前身建物群検出範囲の一部で条件の整った部分を追加指定
する。
【参考】
(1) 今回の答申により、県指定史跡の件数は変更なし(59件)。
(2) 史跡の指定は、平成29年の「梨ノ木坂遺跡」(新規)、「山代郷南新造院跡」(追加
指定)以来6年ぶりとなる。
1 新指定文化財
(1) 種別 天然記念物(動物)
(2) 名称・員数 ニホンアシカ剥製標本 1体
(3) 所在地 島根県松江市西川津町1060
(4) 所有者 国立大学法人 島根大学
(5) 法量等 性別 オス 年齢 幼獣 体勢 伸展腹臥位 全長 1,413.0mm
(6) 特徴
ニホンアシカは日本産鰭脚類(ききゃくるい)8種の中で最も南に分布していた種で、本
州沿岸で繁殖していた唯一の鰭脚類。かつては日本近海に広く分布していたが、1950年
代に絶滅したとされている。
島根県内では、竹島や島根半島などで繁殖・分布が確認されている。なお、『出雲国風
土記』では、嶋根郡(しまねぐん)と出雲郡(いずもぐん)に「等々島(とどしま)」の記載があ
り、8世紀にはすでに県内において多くのアシカが生息していたものと推測される。
対象のニホンアシカの剥製標本は、左前肢(ぜんし)に「海驢(あしか) 明治十九年二月
二十七日於出雲国嶋根郡美保関近海捕獲 牡 若 一名アシカ又ミチ」と記されており、
1886年に美保関で捕獲されたニホンアシカであることがわかる。美保関で捕獲された
後、島根師範学校で剥製標本として保管され、その後、島根大学教育学部で保管、現在は
同大学総合博物館で展示・保管されている。
(7) 指定の理由
ニホンアシカは既に絶滅したとされる動物であり、剥製標本は世界的にも貴重であり、
詳細な研究が行われる以前に絶滅しているため、学術的価値も高い。
本剥製標本は、美保関で捕獲された個体であり、かつ制作後一貫して保管されており、
資料の来歴に不明な点がない。
本剥製標本は捕獲場所や年代等も判明しており、島根県におけるニホンアシカの生息を
示す上で貴重な文化財と位置づけられるため、県指定文化財として保護することが適当で
ある。
【参考】
(1) 今回の答申により、県指定の天然記念物の件数は38件(うち、動物は5件)となる。
(2) 天然記念物の指定は、平成25年以来10年ぶり(動物指定は20年ぶり)となる。
2 島根県指定史跡の追加指定
(1) 種別 史跡
(2) 名称 山代郷南新造院跡(やましろごうみなみしんぞういんあと)
(3) 指定年月日 平成5年4月6日(当初指定)
平成29年1月24日(追加指定)
(4) 所在地 既 指 定 松江市山代町字内堀144番3外
追加指定 松江市山代町字大畑167番 外9筆
(5) 所有関係 個人(追加指定部分)
(6) 面 積 既指定 2,456.92㎡ 追加指定 3,670.56㎡
合 計 6,127.48㎡
(7) 概 要
山代郷南新造院跡は、『出雲国風土記』に「新造院」として記載された寺院跡である。
昭和59年と62年、県教育委員会の発掘調査により、奈良時代の金堂基壇(こんどうきだん)
や瓦、仏像の螺髪(らほつ)等を発見。風土記の記載と調査成果が合致する重要遺跡とし
て、平成5年に県指定史跡として指定している。さらに、平成28年の発掘調査により、
寺域南側の区画溝および寺院に関わる建物跡を確認したため、平成29年に追加指定し
た。
以降、松江市による継続的な史跡指定地周辺の内容確認調査が実施されており、調査で
は、寺域南側の中央付近で寺院の門跡を確認したほか、寺域西側を区画する溝(南北溝)
や、南新造院建立より古い時期の建物(前身建物群)を発見している。
(8) 追加指定の理由
山代郷南新造院跡は、地方豪族が建立した寺院跡であることが推定されていたものの、
寺域や建立の過程については不明な点が多く存在していた。今回、新たな発掘調査によ
り、寺域南側の中央に位置する門(中門)を確認したことで伽藍(がらん)配置の中軸線が
判明し、この中軸線と寺域西側の区画溝(南北溝)及び寺域南側の区画溝(東西溝)によ
り寺域の復元が可能となった。また、東西溝付近で前身建物群を発見したことにより、新
造院建立の経緯が明らかとなった。
このように、山代郷南新造院跡は寺域の範囲や寺院建立の過程が確認できる遺跡であ
り、地方寺院の成立や構造を理解する上で重要であるため、保護を図る必要がある。
今回、南新造院の寺域および前身建物群検出範囲の一部で条件の整った部分を追加指定
する。
【参考】
(1) 今回の答申により、県指定史跡の件数は変更なし(59件)。
(2) 史跡の指定は、平成29年の「梨ノ木坂遺跡」(新規)、「山代郷南新造院跡」(追加
指定)以来6年ぶりとなる。