132 島根半島最大の前方後円墳を確認


 古代文化センターでは、考古基礎資料調査研究事業(墓制調査)として、松江市指定史跡堀部1号墳(松江市鹿島町北講武)の発掘調査を行っています。このたび、埋葬施設や墳丘の形態などについて新たな知見を得ることができましたので、その成果を公開します。

1 今回の調査と成果
⑴ 調査の目的 
   堀部1号墳は全長約45.5mの造り出し付円墳と評価されていたが、令和5年度に行った
  測量調査等により、前方後円墳の可能性が高まった。出雲地域に前方後円墳がいつ、どの
  ように登場するのかという点は、古墳時代前期の社会を知る上で重要な課題であるため、
  墳丘の形態と築造時期等を明らかにする発掘調査を実施した。
⑵ 調査期間 令和6年10月1日~12月下旬(予定)
⑶ 主な調査成果
  ・ 前方部と推定していた範囲にも盛土が施されていることを確認し、全長約68mの前方
   後円墳であることが明らかになった。
  ・ 墳頂部(ちょうぶ)で墓壙(棺を納めるために掘った穴)を確認した。現在調査中のため
   規模などの詳細は不明だが、埋葬完了後の祭祀(さいし)に関わる石杵(赤色顔料を磨
   りつぶすために使った可能性がある石製品)が出土した。
⑷ 調査の意義
  ・ 島根半島最大の前方後円墳であることを確認
  ・ 埴輪を樹立しないことなどから、古墳時代前期に築造された可能性がある
  ・ 松江市鹿島町域には前期古墳が集中して分布し、墳丘の形態も前方後円墳のほか、前
   方後方墳、円墳、方墳など多様。新たな前方後円墳の発見により、当地域を含めた出
   雲地域の古墳時代前期社会を考える重要な手がかりを得ることができた。
2 現地説明会の開催
⑴ 日  時:令和6年11月23日(土・祝)10:00~12:00(小雨決行)
⑵ 開催場所:堀部1号墳 現地(松江市鹿島町北講武)
       駐車場は松江市鹿島福祉センター(松江市鹿島町北講武885-5)
       ※駐車場から堀部1号墳まで徒歩10分程度です
⑶ 当日のお問い合わせ:090-1013-7841(古代文化センター公用携帯)